この記事の内容
カナダで初めて働いたあとに、多くの人がつまずくのが「タックスリターン」です。
「T4って何?」「CRAアカウントは必要?」「ワーホリでも申告するの?」「会計士にお願いした方がいい?」と不安になる方も多いと思います。
この記事では、カナダで初めてタックスリターンをするワーホリ、留学生、移住者、新規居住者向けに、基本の考え方、必要になりやすい書類、申告前に確認したいポイントを初心者向けにまとめます。
税金の判断は、収入、滞在ステータス、居住性、日本の所得、家族構成などで変わります。この記事は一般的な準備ガイドとして読み、個別判断はCanada Revenue Agencyや税務専門家に確認してください。

タックスリターンとは何ですか?
カナダのタックスリターンとは、1年間の所得、控除、税額、還付または追加納税を整理して、Canada Revenue Agency、通称CRAに申告する手続きです。
日本語では「確定申告」と説明されることが多いです。ただし、日本の制度と完全に同じではありません。
カナダでは、雇用主が給料から所得税などを天引きしていても、最終的な税額は年収、控除、クレジット、州、家族状況などをもとに計算されます。そのため、働いた人は自分の状況を確認し、必要に応じてタックスリターンを行います。
申告の結果、税金を払いすぎていた場合は還付になることがあります。逆に、天引きや支払いが足りなかった場合は追加で支払いが必要になることもあります。
ワーホリ、留学生、移住者も確認が必要です
カナダで働いたワーホリの人、アルバイトをした留学生、移住してきた人は、まず自分の税務上の状況を確認する必要があります。
特に確認したいのは、次のような点です。
- カナダで給与所得があったか
- T4などのtax slipを受け取ったか
- カナダに来た日、出た日、滞在期間
- 所得税上の居住者、非居住者、newcomerに関係する可能性
- 日本や他国の所得、資産、投資収入があるか
- 学費、医療費、家賃など、申告に関係する可能性のある支払いがあるか
- CRAから手紙やNotice of Assessmentを受け取っているか
CRAは、カナダに来た人向けにNewcomers to Canada and the CRAというページを用意しています。初めて申告する人は、まずここを確認すると全体像をつかみやすいです。
newcomerとして考えるときの注意点
カナダでの「newcomer」は、日常会話の「新しく来た人」という意味だけではありません。CRAでは、所得税上の居住者になった最初の年の人をnewcomerとして扱う説明があります。
ここで大事なのは、移民ステータスと税務上の居住性は同じではないという点です。
たとえば、学生ビザ、ワーキングホリデー、永住権、就労ビザなどの滞在資格と、税金上どのように扱われるかは、別の観点で判断されることがあります。
次のような人は、自己判断で済ませず、CRA公式情報や専門家に確認した方が安心です。
- カナダに来た年、またはカナダを出た年の申告
- 日本にも収入がある
- 日本の銀行口座、投資、賃貸収入、事業収入がある
- カナダと日本の両方で働いた
- 配偶者や子どもが別の国にいる
- 1年の途中で州を移動した
- 自営業、フリーランス、副業収入がある
- 過去の年の申告をしていない
CRAのCompleting your return for newcomersも、申告時に確認したい公式ページです。
申告期限は状況で変わります
カナダの個人所得税は、一般的に毎年春に前年分を申告します。
たとえば2026年に申告するのは、基本的に2025年分のincome tax and benefit returnです。2026年5月25日時点でCRAが案内している2025年分の申告期限は、多くの個人が2026年4月30日です。自営業者、または配偶者やcommon-law partnerが自営業者の場合は、申告期限が2026年6月15日になる場合があります。ただし、残高がある場合の支払い期限は別に確認が必要です。
年度や状況によって変わるため、必ずCRAのDue dates and payment datesで最新情報を確認してください。
初めてのタックスリターンで集めたい書類
タックスリターンは、まず書類集めから始めると楽です。すべての人に同じ書類が必要なわけではありませんが、初めての人は次のようなものを確認しておくと安心です。
| 書類・情報 | 何に関係する可能性があるか |
|---|---|
| SIN | 本人確認、雇用、申告、CRA手続き |
| T4 | 雇用所得、給与、天引きされた税金 |
| T4A | 奨学金、手当、その他所得など |
| T5 | 銀行利息、投資収入など |
| T2202 | カナダの学校の学費関連 |
| 家賃の記録 | オンタリオ州の一部クレジット確認に関係する可能性 |
| 医療費レシート | 医療費控除・クレジット確認に関係する可能性 |
| 寄付金レシート | 寄付金控除確認に関係する可能性 |
| 雇用主の情報 | T4が届かない場合の確認先 |
| 銀行口座情報 | 還付やbenefit paymentのdirect deposit |
| カナダ入国日・出国日 | newcomer、居住性、申告期間の確認 |
| 日本や他国の所得情報 | 複雑なケースでは専門家確認が必要 |
CRAによると、多くのT4、T4A、T5などのtax slipは発行者から2月末ごろまでに送られることが多いですが、書類の種類によって時期が異なる場合があります。紛失した場合や届かない場合は、雇用主、学校、金融機関、CRAアカウントなどで確認します。詳しくはCRAのTax slipsを確認してください。
T4とは何ですか?
T4は、カナダで雇用されて働いた人が受け取る代表的なtax slipです。
簡単に言うと、その年に雇用主からいくら給与を受け取り、どれくらい税金などが天引きされたかを示す書類です。
複数の職場で働いた場合は、職場ごとにT4が発行される可能性があります。1つの職場だけでなく、過去に短期間働いたアルバイト先や退職済みの勤務先も忘れないようにしましょう。
T4が見つからない場合は、まず雇用主に確認します。その後、CRAアカウントで確認できる場合もあります。ただし、CRA側に反映されるタイミングは発行者の提出状況によって変わります。
T5、T2202、家賃、医療費も確認しましょう
T4だけで終わる人もいますが、状況によっては他の書類も関係します。
T5は、銀行利息や投資収入などに関係することがあります。少額でもtax slipが発行されている場合は確認しましょう。
T2202は、カナダの大学、カレッジ、指定教育機関などで学費を払った人が確認する可能性のある書類です。学費に関する扱いは条件があるため、学校の学生ポータルやCRA公式情報を確認してください。
医療費については、一定の条件でeligible medical expensesとして確認する可能性があります。対象になるかどうかは支払い内容、期間、保険で戻ってきた金額などで変わるため、レシートを保管しておくと安心です。
オンタリオ州に住んでいる人は、家賃や居住状況がOntario Trillium Benefitなどの確認に関係する場合があります。対象になるかは年齢、所得、居住地、家族状況、支払った家賃や固定資産税などで変わるため、Ontario Trillium BenefitやCRAのオンタリオ州向けページを確認してください。
CRAアカウント、住所、銀行口座を確認する
初めてタックスリターンをする前に、CRA関連の基本情報も確認しておきましょう。
特に大事なのは、住所と銀行口座です。
CRAからの通知やNotice of Assessmentが届かないと、申告後の確認が遅れることがあります。引っ越した人は、CRAに登録している住所が現在の住所か確認してください。
還付やbenefit paymentを受け取る可能性がある人は、direct depositも確認しておくと便利です。CRAは、カナダの銀行口座がある人向けにdirect depositの登録方法を案内しています。最新の登録方法はDirect deposit for individualsで確認できます。
SINをまだ持っていない人、または一時滞在者でSINの期限が関係する人は、Service CanadaのSocial Insurance Numberも確認してください。
自分で申告する場合
シンプルなケースであれば、CRA認証済みのtax softwareを使って自分で申告する人もいます。
自分で申告する場合のメリットは、費用を抑えやすく、仕組みを理解しやすいことです。一方で、入力ミス、書類漏れ、居住性の判断、海外所得の扱いなどは自分で確認する必要があります。
CRAは、個人向けにcertified tax softwareの一覧を公開しています。無料プランがあるソフトもありますが、対象条件や対応範囲はソフトによって異なります。
また、所得が少なく、状況がシンプルな人は、CRAのFree tax clinicsの対象になる可能性もあります。利用条件や対応できる内容はクリニックごとに異なるため、事前に確認してください。
専門家に相談した方がよい場合
次のような場合は、会計士、tax preparer、税務に詳しい専門家への相談を検討するとよいです。
- カナダに来た年、または出国した年の申告
- 日本や他国にも所得がある
- 投資、暗号資産、不動産、事業収入がある
- フリーランス、自営業、副業収入がある
- 複数年分をまとめて申告したい
- CRAから手紙が届いた
- 居住性の判断が分からない
- 学費、医療費、家賃、家族関連の扱いが不安
- 英語での申告やCRA対応に不安がある
トロント周辺で日本語対応の会計士、タックスリターン代行、生活サポートを探したい場合は、81 TorontoのDirectoryを見るから確認してみてください。
また、同じような状況の人に質問したい場合は、質問掲示板を見るも活用できます。ただし、掲示板の回答は一般的な体験談として参考にし、最終判断はCRA公式情報や専門家に確認しましょう。
CRAを名乗る詐欺メールや電話に注意
タックスリターンの時期は、CRAを名乗る詐欺メール、SMS、電話にも注意が必要です。
特に、次のような内容には慎重になってください。
- 「今すぐ支払わないと逮捕される」と脅す
- ギフトカード、暗号資産、e-transferで支払いを求める
- 還付金があるとしてリンクをクリックさせる
- SIN、銀行情報、パスワードをメールやSMSで入力させる
- 不自然な日本語や英語で個人情報を求める
CRAの詐欺対策ページScams and fraudでは、CRAを装う詐欺の見分け方が案内されています。少しでも不安な場合は、メールやSMSのリンクからログインせず、Canada.caからCRA公式ページへアクセスしてください。
タックスリターン準備チェックリスト
初めての人は、次のチェックリストを使って準備してみてください。
まずは「書類を集める」ところから始めましょう
初めてのタックスリターンは、制度の言葉が多くて難しく感じるかもしれません。
ただ、最初にやることはシンプルです。T4などの書類を集め、住所、SIN、銀行口座、カナダ滞在期間、自分の収入状況を整理することから始めましょう。
シンプルな雇用所得だけの人は、認証済みtax softwareや無料タックスクリニックで対応できる場合があります。一方で、日本の所得、投資、自営業、居住性、出入国年が関係する場合は、専門家に相談した方が安心です。
81 Torontoでは、トロント生活に役立つ情報を記事一覧を見るでまとめています。日本語で相談できるサービスを探したい方は、Directoryを見るも確認してみてください。
免責
この記事は、カナダで初めてタックスリターンをする方向けの一般的な情報です。税務、居住性、控除、還付、申告義務、海外所得の扱いは個別状況によって変わります。最新情報はCRA、オンタリオ州、Service Canadaなどの公式サイトで確認し、必要に応じて税務専門家へ相談してください。