
トロントで部屋探しをしていると、契約前に「First and Lastを払ってください」「Key depositが必要です」「Damage depositもお願いします」と言われることがあります。
日本の敷金・礼金の感覚で見ると、どれも「入居前に預けるお金」のように見えますが、オンタリオ州では扱いがかなり違います。特に大切なのは、払ってよい可能性が高いものと、原則として求められない可能性があるものを分けて理解することです。
この記事では、トロントで賃貸、シェアハウス、コンド、アパートを探す日本語読者向けに、Last Month’s Rent Deposit、Key Deposit、Damage Depositの違いを整理します。
まず結論:名前が似ていても使い道が違う
オンタリオ州の住宅賃貸でよく出てくるデポジットは、主に次の3つです。
| 名目 | 何のためのお金か | 基本的な扱い |
|---|---|---|
| Last Month’s Rent Deposit | 最後の月または週の家賃 | 認められるが、用途は最後の家賃に限られる |
| Key Deposit | 鍵、フォブ、アクセスカードなど | 返金可能。直接交換費用の範囲が目安 |
| Damage Deposit | 損傷、清掃、修理などへの備え | 住宅賃貸では認められない可能性が高い |
「deposit」とだけ言われた場合は、何のためのデポジットなのかを必ず確認しましょう。Last Month’s Rentなのか、Key Depositなのか、それ以外なのかで、意味が大きく変わります。
Last Month’s Rent Depositとは
Last Month’s Rent Depositは、最後の月の家賃デポジットです。トロントの部屋探しでは、よく「First and Last」と表現されます。
この場合のFirstは入居月の家賃、Lastは最後の月の家賃として預けるお金です。
たとえば、毎月1日に家賃を払う契約で、9月1日に入居する場合、契約時に次のような支払いを求められることがあります。
- 9月分の家賃
- 最後の月の家賃デポジット
- 必要に応じてKey Deposit
Last Month’s Rent Depositは、月払いの賃貸なら最大1か月分、週払いなら最大1週間分が基本です。重要なのは、このお金は最後の家賃にしか使えないという点です。
壁の修理、家具の破損、清掃費、家賃滞納の穴埋めなどに、家主が自由に使えるお金ではありません。
Last Month’s Rentは返ってくるお金?
ここでよくある勘違いが、「退去時にLast Month’s Rentが返ってくるのか」という点です。
通常は、退去時に現金で返金されるものではありません。最後の月の家賃として使われます。
たとえば、8月31日に退去する場合、8月分の家賃に最初に預けたLast Month’s Rent Depositが充当されるイメージです。そのため、退去直前の月に「今月分はLast Month’s Rentを使います」と確認する流れになります。
ただし、次のような場合は別の問題になります。
- 入居できなかったのにデポジットが返金されない
- 最後の月の家賃に使われなかった
- 家主が別の費用に使おうとしている
- 利息が支払われていない
- 契約前の説明と実際の扱いが違う
このような場合は、メッセージ、領収書、契約書、送金記録を残したうえで、Landlord and Tenant Boardなどの公式情報を確認しましょう。
Last Month’s Rentには利息がある
オンタリオ州では、家主はLast Month’s Rent Depositに対して利息を支払う必要があります。利率は、その年のRent Increase Guidelineと同じです。
一方で、家賃が正式に上がった場合、家主はデポジット額を新しい家賃額に合わせるために、差額の追加を求めることがあります。
実務上は、家賃デポジットの利息と、家賃上昇分の追加が相殺される形で処理されることもあります。ただし、説明がないまま曖昧にされると後で混乱しやすいため、気になる場合は「デポジット利息はどのように処理されますか」と確認しておくとよいでしょう。

Key Depositとは
Key Depositは、鍵、フォブ、アクセスカード、ガレージリモコンなどを返さなかった場合の交換費用に備えるお金です。
オンタリオ州では、返金可能なキー関連のデポジットは認められています。ただし、金額は実際の直接交換費用を超えない範囲が目安です。
たとえば、次のようなものがKey Depositの対象になりえます。
- 部屋の鍵
- 建物入口の鍵
- コンドのフォブ
- アクセスカード
- ガレージリモコン
- メールボックスの鍵
Key Depositは、退去時にすべて返却すれば返金される性質のものです。
そのため、家主が「壁に傷があるのでKey Depositから差し引く」「清掃が必要なので返さない」と言う場合は、本来の目的から外れている可能性があります。Key Depositは、部屋のダメージや清掃費のためのデポジットではありません。
Key Depositで確認したいこと
Key Depositを求められたら、支払う前に次の点を確認しておくと安心です。
- 何の鍵・フォブ・カードに対するデポジットか
- 金額はいくらか
- 退去時に何を返せば返金されるのか
- 返金方法と返金時期
- 鍵を紛失した場合の実費はいくらか
- 領収書やメッセージで記録が残るか
特にコンドのフォブやガレージリモコンは、通常の鍵より交換費用が高くなることがあります。とはいえ、「念のため高額にしている」「管理手数料込みで数百ドル」といった説明だけでは不明確です。
金額が高いと感じたら、直接交換費用に基づくものかを確認しましょう。
Damage Depositとは
一番注意したいのが、Damage Depositです。
日本の敷金に近い感覚で、「退去時の修理や清掃に備えるお金」と説明されることがあります。しかし、オンタリオ州の住宅賃貸では、Damage DepositやSecurity Deposit、Pet Deposit、Cleaning Depositのような追加デポジットは認められない可能性があります。
オンタリオ州のStandard Lease Guideでも、家主が集められるデポジットはLast Month’s Rentと返金可能なKey Depositに限られると説明されています。
つまり、家主や掲載者から次のように言われた場合は、すぐに支払わず、内容を確認してください。
- Damage Depositが必要です
- Cleaning Depositを先に払ってください
- Pet Depositを追加で払ってください
- Furniture Depositが必要です
- Security Depositとして家賃1か月分を預かります
- Last Month’s Rentとは別に、保証金を払ってください
もちろん、名前だけで即断するのではなく、何のためのお金か、返金されるのか、契約書のどこに書かれているのかを確認することが大切です。
Damage Depositがないなら、部屋を壊してもよい?
Damage Depositが原則として認められにくいからといって、入居者が部屋を壊しても責任がないという意味ではありません。
入居者、同居人、ゲストなどが通常の使用による摩耗を超える損傷を与えた場合、修理責任や費用負担が問題になることがあります。
ポイントは、家主が最初からDamage Depositとしてお金を預かって自由に差し引くのではなく、実際に損傷があり、費用負担が必要かどうかを別の形で扱うということです。合意できない場合は、Landlord and Tenant Boardでの手続きが関係することがあります。
退去時のトラブルを避けるためには、入居時と退去時に写真を撮り、気になる傷や不具合は早めにメッセージで残しておくとよいでしょう。

トロントの部屋探しでよくある支払いパターン
トロントで部屋を探していると、次のような支払いを求められることがあります。
もっとも一般的に見かけるのは、First and Lastです。これは、入居月の家賃と最後の月の家賃デポジットを意味します。
そこに、鍵やフォブのためのKey Depositが少額で加わることがあります。
一方で、First and Lastに加えて、Damage Deposit、Cleaning Deposit、Security Deposit、Furniture Depositなどを求められた場合は注意が必要です。
特に渡航前や内見前に送金を求められている場合は、支払い名目だけでなく、相手の立場、物件の実在性、契約書、住所、返金条件を確認してください。
81 Torontoで掲載を見るときの確認ポイント
81 Torontoなどで部屋の掲載を見るときも、家賃そのものだけでなく、入居前に求められる支払いの内訳を確認しておくと動きやすくなります。
掲載文やメッセージに「deposit」とだけ書かれている場合は、次のように具体的に聞いてみましょう。
> このdepositはLast Month’s Rentですか、それともKey Depositですか? > 返金される場合、条件とタイミングを教えてください。 > 契約書またはメッセージで支払い内容を確認できますか?
日本語で条件を見ながら探したい場合は、81 Torontoの住まい関連記事や部屋探し掲示板も選択肢の一つです。ただし、掲載情報の正確性や契約の安全性を保証するものではありません。内見、契約内容、支払い条件、相手の情報は自分でも確認してください。
関連して、送金前の危ないサインはトロントの部屋探し詐欺対策、内見時の確認項目はシェアハウスの探し方・内見前の質問も参考になります。
支払い前に残しておきたい記録
デポジットを払う前には、次の内容が分かる記録を残しておきましょう。
- 支払う金額
- 支払い日
- 支払い方法
- 何のためのお金か
- 返金される条件
- 返金されるタイミング
- 受け取り相手の名前
- 家主、管理会社、ルームメイトなど相手の立場
- 物件住所
- 契約書または合意内容
e-Transferで送る場合も、送金メモだけに頼らず、事前のメッセージで「何の支払いか」が分かるようにしておくと後で確認しやすくなります。
現金で払う場合は、領収書を必ずもらいましょう。領収書には、日付、金額、支払い名目、受け取った人の名前があると確認しやすくなります。
すでに払ってしまった場合
もし、違法な可能性があるデポジットをすでに払ってしまった場合、Landlord and Tenant BoardのT1申請が関係することがあります。
T1は、家主が受け取るべきでないお金を受け取った場合、Last Month’s Rent Depositを正しく使わなかった場合、デポジット利息を支払っていない場合などに使われる申請です。
ただし、申請できるかどうか、期限、証拠、対象になる金額は個別事情によって変わります。金額が大きい場合、退去時トラブルになっている場合、契約形態が複雑な場合は、LTB、Community Legal Clinic、Legal Aid Ontarioなどで確認しましょう。
まとめ
オンタリオ州の賃貸では、デポジットという言葉が出てきても、すべて同じ意味ではありません。
Last Month’s Rent Depositは、最後の月または週の家賃として使うものです。Key Depositは、鍵やフォブなどを返却すれば返金される性質のものです。一方で、Damage Deposit、Cleaning Deposit、Pet Depositのような追加デポジットは、住宅賃貸では認められない可能性があります。
トロントで部屋探しをしていると、早く決めたい気持ちから支払いを急ぎたくなる場面があります。ですが、デポジットは契約前の大事なお金です。
「何のためのお金か」「返ってくるのか」「最後の家賃に使われるのか」「鍵の交換費用なのか」を具体的に確認し、記録を残してから進めましょう。
公式リンク・確認先
一般情報としての注意書き
この記事は、オンタリオ州で賃貸物件を探す日本語読者向けの一般情報です。法律助言ではありません。
Residential Tenancies Actの適用有無、契約形態、住宅の種類、支払い内容、申請期限、証拠の有無によって、実際の判断は変わる場合があります。契約、支払い、返金請求、紛争対応を行う前に、Ontario.ca、Landlord and Tenant Board、Community Legal Clinic、Legal Aid Ontarioなどの公式情報や専門機関で最新情報を確認してください。
81 Torontoの掲載情報や関連記事は、部屋探しの入口として利用できますが、掲載情報の正確性、契約内容の妥当性、取引の安全性を保証するものではありません。支払い前に、相手の情報、契約条件、物件住所、返金条件を自分でも確認してください。


