
カナダに来て初めて「タックスリターン」という言葉を聞くと、難しい手続きに感じるかもしれません。ワーホリや留学生にとっての入口は、まず「去年1年間にカナダでいくら収入があり、いくら税金が引かれ、最終的に精算するとどうなるか」を確認することです。
カナダの個人向け申告は、正式には Income Tax and Benefit Return と呼ばれます。税金を払うためだけではなく、払いすぎた税金の還付、対象となるベネフィットやクレジットの確認にもつながります。収入が少ない年や、働いていない年でも、状況によっては申告が関係することがあります。
まず知っておきたいこと
タックスリターンは、「自分がカナダにいたか」「働いたか」だけで決まるものではありません。税務上の居住ステータス、カナダ国内外の収入、学校の授業料、雇用形態、年の途中で入国・出国したかどうかなどが関係します。
特に留学生の場合、study permit を持っていることと、税務上の居住者かどうかは同じ意味ではありません。ワーホリの場合も、work permit があるからといって申告内容が自動的に決まるわけではありません。
最初の年は、細かい節税テクニックを探すよりも、自分に関係する書類を集め、期限を把握し、分からない点を早めに確認することが大切です。
ワーホリで働いた人はT4を確認する
カナダで雇用されて働いた人は、雇用主から T4 という書類を受け取るのが基本です。T4には、その年に支払われた給与、引かれた所得税、CPP、EIなどが記載されます。
複数の職場で働いた場合は、職場ごとにT4が発行されることがあります。短期間しか働いていない場合でも、給与から税金などが引かれていればT4が出る可能性があります。
T4が届かない場合は、まず元の雇用主に連絡します。雇用主のオンラインポータル、メール、郵送、CRAアカウント上で確認できることもあります。申告直前になって探すと時間がかかるため、2月末から3月にかけて確認しておくと進めやすくなります。
留学生はT2202とT4Aも見る
学校に通っている人は、T2202 という Tuition and Enrolment Certificate を確認しましょう。対象となる授業料を申告するために使う書類で、多くの場合、学校の学生ポータルからダウンロードできます。
奨学金、バースリー、リサーチ関連の支払いなどを受けた人は、T4A が発行される場合もあります。働いていない留学生でも、T2202やT4Aが関係することがあるため、「学生だから税金は関係ない」と決めつけない方が安全です。

いつまでに申告するのか
2025年分の個人タックスリターンでは、多くの人の申告期限は 2026年4月30日 でした。自分、配偶者、またはコモンロー相手が自営業者の場合、申告期限は 2026年6月15日 ですが、支払う税金がある場合の支払い期限は 2026年4月30日 です。
毎年の締切は変わる可能性があるため、記事を読んだ時点で必ずCRAの最新ページを確認してください。特に、帰国直前、住所変更後、CRAからレターを受け取った後は、期限や対応方法を自己判断しない方が安心です。
申告方法は大きく4つ
初めての人が選びやすい方法は、大きく分けて次の4つです。
1つ目は、CRA認証の税務ソフトを使って自分で申告する方法です。条件に合えば、NETFILEを使ってオンライン送信できます。
2つ目は、紙の申告書を使って郵送する方法です。オンライン申告が使えない場合や、事情によって紙で進める場合があります。
3つ目は、税理士やタックスプレパラーなどの専門家に依頼する方法です。海外収入、自営業収入、帰国年の申告などがある場合は、費用がかかっても確認する価値があります。
4つ目は、無料タックスクリニックを利用する方法です。CRAのCommunity Volunteer Income Tax Programでは、低所得でシンプルな税務状況の人向けに、ボランティアが申告を手伝う無料クリニックが案内されています。対象条件や開催時期は場所によって異なります。
初めての人が準備しておきたいもの
申告前に、次の情報をそろえておくと進めやすくなります。
- SIN
- 現住所と過去の住所
- 銀行口座情報
- T4、T4A、T2202などの税務書類
- 入国日、出国予定日、カナダ滞在期間
- 日本を含むカナダ国外の収入情報
- 家賃、医療費、寄付など関係しそうな領収書
- CRAから届いたレターやNotice of Assessment
初年度は、CRAアカウントにまだ入れない、NETFILEのアクセスコードがない、前の雇用主と連絡が取りにくい、学校ポータルに入れない、ということもあります。申告そのものより、準備段階に時間がかかることを前提にしておきましょう。
迷ったら早めに確認するポイント
次のような状況がある人は、早めにCRA公式情報や専門家に確認した方がよい場合があります。
- 年の途中でカナダに来た、または帰国した
- 日本や他国で収入があった
- チップ収入や現金収入がある
- Uber、デリバリー、フリーランスなど自営業扱いの収入がある
- 複数の雇用主で働いた
- 配偶者、コモンロー、扶養家族がいる
- CRAからレターを受け取った
- 申告後にT4やT2202の間違いに気づいた
「友達はこうだった」「同じ学校の人がこう言っていた」という情報は参考にはなりますが、税務上の判断は個別事情で変わります。特に海外収入や居住ステータスは、人によって答えが変わりやすい部分です。
81 Torontoで次にできること
タックスリターンは、お金まわりだけでなく、仕事、学校、住まい、銀行口座、SINともつながっています。トロントで仕事を探す人は、給与明細、時給、チップ、Vacation Pay、SINの扱いもあわせて確認しておくと、申告時に困りにくくなります。
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よくある質問
ワーホリで少しだけ働いた場合もタックスリターンは必要ですか?
収入額だけで一律に決まるわけではありません。給与から税金が引かれていて還付を受けたい場合、CRAから申告を求められた場合、ベネフィットやクレジットに関係する場合などは申告が関係します。T4を受け取ったら、まず内容を確認しましょう。
留学生で働いていなくても申告できますか?
留学生でも、カナダで申告が必要または有利になる場合があります。CRAは、留学生はまず税務上の居住ステータスを確認する必要があると案内しています。授業料のT2202、奨学金のT4A、海外収入の有無なども関係します。
T4はいつ受け取れますか?
雇用主が給与を支払った場合、通常は翌年2月末ごろまでにT4が発行されます。紙、メール、雇用主のポータル、CRAアカウント上で確認できる場合があります。受け取れない場合は、まず雇用主に連絡しましょう。
初めてでもオンラインで申告できますか?
条件を満たせば、CRA認証の税務ソフトを使ってNETFILEで送信できる場合があります。ただし、初年度、非居住者、年の途中で入国・出国した人、自営業収入や海外収入がある人は、ソフトの質問をよく読み、必要に応じて専門家に確認してください。
税理士に頼むべきですか?
雇用収入だけで書類がそろっている場合は自分で進める人もいます。一方で、日本での収入、自営業扱い、チップや副業、複数国の居住、帰国年の申告などがある場合は、税務専門家や無料タックスクリニックの利用を検討するとよいでしょう。
この記事は、カナダで初めてタックスリターンを考えるワーホリ・留学生向けの一般情報です。個別の税務、法務、金融アドバイスではありません。申告義務、居住ステータス、海外収入、控除、ベネフィット、申告期限、CRAへの対応は個別事情によって変わります。重要な判断をする前に、CRA公式情報、税務専門家、または認定された支援窓口に確認してください。


